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萩市と探偵

萩市は江戸時代の趣を今に残している山口県下有数の観光地の一つである。 既に指月城(萩城)は明治維新後、現存はしておらず、今は石垣が残っているのみであるが、周りは海や樹木が多く、往時の雰囲気を感じ取れることが出来るのではないだろうか。

維新の原動力となったこの地には「吉田松陰」や「高杉晋作」など、幕末の表舞台で活躍した人物を多く輩出している地である。 萩に限らず山口県は明治政府 の要人となった人物が多く存在しているが、それは土佐の「坂本竜馬」をはじめ、倒幕に奔走した人物が土佐・長州・薩摩出身者が多かったのと、結果的に幕府 が倒れ、新政府を担ったのが、志士達、倒幕に動いた人間であった為に必然的であったことでもあろう。

「勝てば官軍」と言われる様に、負けた幕府側はまるで悪人扱いとして後世の人間には伝えられている感がある。 しかし、その時代に、自分が置かれている状 況で選択の余地がない場合もある。 京都に於ける、治安を目的に設立された「新撰組」など、官軍に相反する組織な訳であるが、幕府側からすれば志士達は國 の治安を乱す反乱分子である。

倒幕側・幕府側、共に現代に至る迄英雄として語られている人物は多いが、英雄には女性が付きものである。よく聞くのは「妾」や「愛人」の存在である。  「坂本竜馬」「桂 小五郎」「土方歳三」、確かに当時は日本全国を駆け回っていたであろうから、正妻以外に女性の存在があってもおかしくはなく、しかもあ る程度の権力者や人格者であれば尚更であったろう。

しかし当時(江戸期やそれ以前)の歴史書などを見ても頻繁に「側室」「妾」という言葉が出て来る。 男尊女卑という意識が強かった時代でもあり、”浮気” などという意識があったのかどうか分からないが、江戸期には妻に対して”三行半”(離縁状)を出していた事実はあるので、”浮気”とか、”不貞”といった 概念が少しはあったのだと思われる。

とはいえ、現代とは時代背景が全く違うので訴訟に至ることもなかったであろうし、慰謝料を支払う義務などもなく、妻が持参した家財道具を返す程度であったという。

“三行半”所謂『離縁状』は通常、男性から女性に渡されていたものであるが、女性は”三行半”を貰うと、あとは自由な生活(再婚など)が出来るというものであったらしいから、逆に女性の立場で、好きな男性が出来た場合には早々に”三行半”を貰いたいと思ったことだろう。

現代ではそういった夫婦の不貞などを把握する手段として、「探偵」という存在があるが、江戸期迄、それらは「忍」と呼ばれていた。 目的は諜報活動で、現 在の「探偵」とは少し違う性質であり、当時は夫或いは妻の不貞を掴む為に「忍」が活動したとは思えないが、活動上、女性関係や男性関係が必然と出てくる事 もあろうことは想像に難くない。

ただ、失脚させる為や暗殺であったりした時代であるから、目的そのものが現代とは大きくかけ離れている。 いずれにしても「忍」や「探偵」のやっかいにならぬ生活を送れる事が一番の幸せかもしれない。